インプラントを検討されている方へ
メリットだけでなくデメリットも理解されていますか?
インプラントをご検討中の方にお伝えしたいのは、「インプラントのメリットだけでなく、デメリットも十分理解されていますか?」ということです。
「天然歯と同じ噛み心地が得られる」「第二の天然歯」などと喧伝されているインプラントですが、当然デメリットもあります。それを十分理解された上で、それでも「インプラント治療を受けたい」ということでしたら何も申し上げることはありません。
ですが、デメリットをよく理解されていなかったり、歯科医院で十分な説明を受けていなかったりするのであれば、インプラントがどんな治療方法なのか、そしてどんなデメリットがあるのかをしっかりと知ってから選択されることをおすすめします。
きちんと情報提供を受けた上で検討するようにしましょう
当クリニックではインプラントは行っておりませんし、歯を失った時の最善の選択とも考えていません。
ですが、「インプラント治療は受けるべきではない」「インプラントはだめな治療」などと言っているわけではありません。
インプラントにも、「まわりの健康な歯に負担をかけずに機能性の回復がはかれる」などのメリットがあります。大切なのは、そういったメリットだけでなく、デメリットもきちんと情報提供されているかどうかです。
最終的に治療を受けるかどうかを選択するのは、患者様です。歯科医院の役目は、その判断に必要な情報を提供することです。きちんと情報提供を受けずに選択してしまうと、後の後悔に繋がる恐れがあります。そうならないためにも、きちんと情報提供を受けて、他の治療方法も含めた上で検討するようにしましょう。
インプラントに対する当院の考え方
当クリニックのインプラントに対する考え方は、「第一選択ではなく最終手段」というものです(ただし、当クリニックではインプラント治療は行っていません)。
そのように考える理由として、「インプラントには歯根膜がない」ということが挙げられます。
歯根膜とは
歯根膜とは、歯槽骨(歯を支える骨)と歯根(歯の根っこ)の間にある薄い膜のことで、これには骨と歯、そして歯と歯茎を繋ぐ機能があるほか、咬み合わせた時に歯に加わる力を和らげたり、歯にかかる力を刺激として脳に伝達する細菌感染に対する抵抗性など、様々な機能があります。
歯根膜の主な機能
1.結合組織としての機能
骨と歯、そして歯と歯茎を繋ぐ結合組織としての機能があります。
2.歯に加わる力を和らげるクッション機能
咬み合わせた時に歯に加わる力を和らげて、歯や骨にかかる力を吸収・分散するクッションのような機能があります。
3.歯にかかる力を刺激として脳に伝達するセンサー機能
歯にかかる力を刺激として脳に伝達するセンサーのような機能があります。
4.感染を防ぐバリア機能
虫歯菌や歯周病菌などの感染を防ぐバリアのような機能があります。
歯根膜がないインプラントのリスク
インプラントは人工物ですので、歯根膜がありません。そのため、咬み合わせた時に歯に加わる力を和らげるクッション機能がないので、対合歯へのダメージが大きくなります。また、感染を防ぐバリア機能もないので、ブラッシングなどのケアの精度が低かったり、怠ったりすると、インプラント周囲炎のリスクが高くなり、インプラント周囲炎から骨髄炎まで引き起こしてしまうことがあります。
このように歯根膜がないインプラントには、お口の健康を脅かす様々なリスクがあります。だからこそ当クリニックではインプラントは行っていませんし、最善の選択とも考えていないのです。
歯を失った時の治療方法
失った歯を補う方法には、インプラント以外にもブリッジ、入れ歯、歯牙移植などがあります。このうち歯牙移植は、インプラントのように人工物ではなくご自身の歯を使いますので、生着すればお体への親和性がとても高い治療方法です。お一人おひとりと丁寧にカウンセリングして、最善の治療方法をご提案させて頂きます。
インプラント
歯を失った部分にインプラント体を埋め込んで、その上に人工歯を被せることで機能性や審美性を回復させる方法です。
メリット
- まわりの健康な歯を削らない(ブリッジと比較して)
- しっかりとモノが噛める(入れ歯と比較して)
デメリット
- 歯茎を切開したり、顎の骨にインプラント体を埋め込んだりするなどの外科手術が必要
- 他の方法と比べて治療期間が長い
- 健康保険が適用されないため費用がかかる
- 糖尿病などの全身疾患がある方には適応とならないことがある
- お口の中の状態によっては適応とならないことがある
歯牙移植
歯を失った部分に、患者様ご自身の歯を移植する方法です。
主に親知らずを移植しますが、生えている場所が悪い小臼歯などを使用することもあります。
メリット
- 自分の歯を使うので生着すれば親和性がとても高く、安全(インプラントと比較して)
- 歯根膜がある
- 天然歯のように自然な噛み心地が得られる(インプラントと比較して)
- 条件を満たしている場合には、保険適用で治療が受けられる
デメリット
- 歯を移植するために外科手術が必要
- 糖尿病などの全身疾患がある方には適応とならないことがある
- お口の中の状態によっては適応とならないことがある
- 生着しないリスクもある
- 抜歯後期間が長すぎる場合や、親知らず以外を移植する場合には保険適用外となる
ブリッジ
歯を失った部分の両隣の歯を削り、それらを支えとして、ブリッジを架けるように人工歯を装着させる方法です。
メリット
- 入れ歯よりも噛み心地が良い
- 入れ歯よりも審美性が高い
- 使用する素材によっては保険適用となるので、費用が抑えられる
デメリット
- 健康な歯であっても隅の歯を削らなくてはいけない
- 支えとする歯に負担がかかる
- 装置の下に汚れが溜まりやすい
入れ歯
歯を失った部分に人工の歯茎・人工歯を含む装置を装着させて、機能性や審美性を回復させる方法です。
メリット
- 他の方法と比べて治療期間が短い
- 幅広い症例に対応することができる
- 使用する素材によっては保険適用となるので、費用が抑えられる
デメリット
- 入れ歯の種類によっては口元の見た目が悪くなることがある
- 痛み、発音障害などの違和感が生じることがある
- 硬いものがしっかり噛めないことがある